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日本人初のスマブラプロゲーマー。aMSa(あむさ)のブログ。徒然なるままに、発信

『Genesis 6』大会レポ 前編~世界一スマブラDXプレイヤーへの第一歩~

皆さんはじめまして、aMSa(あむさ)といいます。

01/29-02/05の期間、アメリカのオークランドで行われた『Genesis 6』という
スマブラシリーズの世界大会に参加してきましたので、振り返りたいと思います。

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Genesis 6 Top 8の会場 Photo by Robert Paul

の、前に

最近私は主に『スマブラSP』の解説者として表に出ることが多く、『スマブラDX』の競技者としての一面を知っていただく機会が減っていましたので、まず改めて軽く自己紹介を。

自己紹介

私は2012年10月より『スマブラDX』の所謂ガチ勢としてスマブラ界隈に参戦しました。
スマブラDX』では赤色の『ヨッシー』を使用しています。
当時『ヨッシー』は海外のキャラランクで26キャラ中21番目という評価を受けていました。いわゆる弱キャラです。

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2010年末に公開された北米のスマブラDXランキング。ヨッシーは21番目。低。


この評価に対して憤り、ヨッシーの強さを示すことを第一の目標に国内外への選手活動をつづけた結果、2014年のAPEX2014という大会で9位に入ったことをきっかけに2014年5月、アメリカの配信会社「VGBootCamp」にスポンサードしていただき、日本人初のプロスマブラプレイヤーとなりました。

また、この度2019年2月よりレッドブル社にスポンサードしていただき、レッドブルアスリートとなりましたが、その話は後述します。

そして、2014年後半~2019年2月現在、兼業プロゲーマーとして各所でIT関係の仕事に従事しつつプロゲーマーとしての活動(競技者・配信・生放送/番組出演・書籍の執筆・実況解説・大会主催・攻略記事掲載等)を行っておりました。

しかし、ITとプロゲーマー。二足の草鞋を履きつつ活動を続けるには、時間が圧倒的に不足しておりました。
特に私がプロゲーマーとして最も重要だと考えている「競技者としての実力」を上げることができておらず、2015年~2017年の間、実力の現状維持が限界でした。
この状態に危機感を覚え、

「このままでは珍しいキャラを扱う、ただの客寄せパンダのままで終わってしまう」

と思い、意を決して2017年12月よりスマブラ専属コーチとしてスマブラ古参プレイヤーの『カイト』コーチをつけました。
『カイト』コーチについて、スマブラのコーチとは具体的に何を行っているのか等々どこかのタイミングでまとめてご紹介したいと思います。

その後『カイト』コーチの指導と共に実力を上げ、わずか半年で世界ランキングを2017年の24位から2018年には9位まで上げることができ、目標のTop10入りを果たすことができました。こちら後述します。
以上が『スマブラDX』に関するお話ですが、一方で最新作の『スマブラSP』にも下記のような形で携わることに。

現在は『スマブラDX』の競技者としてだけでなく、
スマブラSP』の公式大会などで解説者としても活動しています。

(追記:2019/02/13 )

より詳しい情報は下記をご参照ください。

aMSa | 格ゲープレイヤーWiki

Gensis 6 大会レポ プロローグ

さて、『Genesis 6』のお話に戻ります。
スマブラの世界大会といっても過言ではない、この大会に関する歴史については『アユハ』氏の記事が詳しいのでご参照ください。

私はスマブラDXのシングルス・ダブルス部門のみに参加申請しましたが、
スマブラ64、スマブラDXスマブラSP、それぞれに日本の強豪プレイヤーが多く参加しました。

私とCaptain Jackさん、あぶさんは他の日本のプレイヤーよりも早く1/29(火)に日本を出発。
現地ではサンフランシスコ国際空港からわずか車で5分という近場に居を構える、Tophさんの家にお世話になりました。
海外大会に参加する際はホテルに宿泊することもありますが、海外プレイヤーの家に泊めていただくこともあり、非常にお世話になっています。

スマブラをすると世界中に宿ができる」

のは不思議ですね。お土産は日本酒をプレゼントしました。

現地に到着してからしばらくは時差ボケとの戦いです。
飛行機の中での寝るタイミング、現地到着時刻など様々な要因が絡み、場合によっては大会当日まで引きずってしまうこともあるのでここの調整は非常に重要。
とはいえ寝たいときは寝るに限るので、昼寝で寝すぎないことを意識すれば基本問題なし。
TophさんやルームメイトたちとスマブラDX,時々スマブラSPをプレイして三日間を過ごしました。
初日に食べた「In n Out」のハンバーガー&ポテトが美味しかったので北米に行かれる方はご賞味あれ!

前夜祭大会が行われた Esports Arena OAKLAND にも顔を出しました。ちゃっかりTophさんと組んでローカル大会ダブルス優勝。

大会前日入りのSanneNatsuと共にNintendudeの彼女さんのRose宅に移動し、本戦に備えます。

Gensis 6 大会レポ Day 1 ~開幕・スペシャルアナウンス~

日も明けていよいよ本戦スタートです。

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全種目合わせて2500人以上の参加者がこの会場に

この日、朝から嬉しいニュースが入ってきました。

2018年のスマブラDX世界ランキングのTop10が公開され、私は第9位に入りました。

2018年上期からTop10入りを果たしましたが、年間でも達成できて何よりです。

そして朝一番、Sanneと共にダブルスの試合に臨みます。
Genesis では昨年、スマブラDXのダブルス部門のTop4も壇上で行われましたが今回は初日ですべてのダブルスが消化される過酷なスケジュール。
予選は無事に抜けたものの敗者側通過で二次予選にて敗退し結果は25位でした。
ダブルスに関しては練習の量がものを言いますが、圧倒的に事前の準備が足りていませんでした。
オフラインの環境しかないスマブラDXにおいて、日本でまともなチームの練習をするには同程度の実力者を4人同じ場所に集めなければなりません。
ダブルスにおいては海外プレイヤーとの差を改めて実感しました。

続けてシングルスの一次予選。こちらは危なげなく勝者側で突破しました。

三日間かけて、徐々にエンジンをかけています。特にDay2はTop8入りがかかっているため落とすわけにはいきません。

そしてDay 1の最後に例のスペシャルアナウンスに入ります。

翼を授かりレッドブルアスリート

この日を持って、私aMSaはレッドブルアスリートとなりました。

こんなツイートするくらい大会中はレッドブルを愛用しておりましたが、まさか自分がアスリート側になるとは...この日が来るまであまり実感がありませんでした。
素敵なアナウンスを考えてくれたスタッフやレッドブルの皆さんに感謝です!

また、このアナウンスは私にとってもう一つ特別な意味を持っておりました。

スポンサードいただいているVGBootCamp、レッドブル、この2社のサポート及び2018年の成績を持って、私はようやく胸を張って「私はプロゲーマーです。」と名乗ることができそうだと、そう感じたからです。

プロゲーマーとしての葛藤

私は上記自己紹介記載の通り、2014年5月にVGBootCampのスポンサードを受け、プロゲーマーとなりました。
2014年当時の時点ではゲームにおいて「スポンサード」という概念がそもそも少なかったために、

スポンサードを受ける=プロゲーマーになる

という図式が成り立っていたように思いますし、私自身当時はその定義に基づいて「プロゲーマーです」と名乗っていた時期がありました。

 プロ格ゲーマーとは
主にスポンサーの支援を受けて対戦格闘ゲームの大会に出場、及び広報活動をする職業。

(中略)


職業と言っても資格や試験があるわけではなく、プロとアマチュアの明確な区分けは不明瞭である。
強いて言えばスポンサー企業のチームに所属し、金銭的支援を受けているか否か。
スポンサーによっては月給制は取らずに、大会への遠征費用(移動滞在費)のみを負担するなど契約によってその形態は様々である。
 *格ゲーWiki プロ格闘ゲーマー項より引用

しかし、近年になってこの定義に沿って自身を「プロ」と名乗ることにかなり違和感を感じており、抵抗を持つようになりました。2018年夏頃にウェルプレイドさんのインタビューでは下記のように回答させていただきました。

――:(VGBootCampの)スポンサーが付いてポジティブなこと以外に、失ったものがあれば教えてください。

aMSa:
失ったと感じるものはないですね。自分の中にあるプロとしてのプライドが、“プロとしてあるべき姿”を作り上げていて、それを目指す上で上手くいかないなと思うことはありますが、それで損した、失ったと思うことはありません。

基本的にこのゲームが好きでプレイしつづけて、その延長線上でスポンサーが付きました。特にお金のためではなく。ただ、プロゲーマーという定義に入ってしまったなと思うことはあります。最近はプロゲーマーの数が増えてきて、定義自体がブレてきているじゃないですか。

プロ像がはっきりしないままSNSや配信でやらかした人が炎上し、結果世間から“プロゲーマー(笑)”みたいな扱いを受けるという流れになりつつあるんじゃないかと危惧しています。正直なところ、あまりプロゲーマーと自称はしません。そういう意味では、もっと世間に知っていただくためにも活動を続けていきたいですね。

*“コーチ”と二人三脚でさらなる高みへ――日本人初のプロスマブラーaMSa選手に訊く【後編】 より引用

このとき描いていた"プロとしてあるべき姿"とは

「実力」「収益」「価値」

の三点を満たすこと。これが私の中でのプロゲーマー像でした。
具体的には

  1. 実力:世界に通用する競技者としての強さを示すこと
  2. 収益:競技者としての活動で主生計を立てること
  3. 価値:ゲームの種目名を聞いた際、一番に思い浮かぶ選手になること

です。

3番目の「価値」はスタープレイヤーとしての理想系を記載しております。
今だと「スマブラSP」と聞くとあばだんご選手ザクレイ選手を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
同様に、おそらく国内では「スマブラDX」と聞くと私の名前が出てくるのではないかと思っています。
私はこれまでこの「価値」に関しては、日本で初めてスマブラプレイヤーでスポンサードをいただいたことも後押しし自負がありましたが、「実力」「収益」の二点が大きく不足しており、長年目標のプロゲーマー像には至っておりませんでした。
ウメハラさん、ときどさん、そして多くの日本を代表するプロゲーマーたちと比べて、私はなんて情けないのだろうと。プロと名乗るのはとてもおこがましいと、そう感じておりました。

ゲームで生計を立てられず

結果も残せず

ゲームへの時間も確保できていない

配信も定期的にこなせていない

プロスポーツ選手のような厳しいトレーニング・ルーティンを課しているわけでもない 

そんなだった私のどこがプロだったのでしょうか。
名刺交換の際にも私からは「スマブラプレイヤーのaMSaです」としかお伝えできませんでした。

「プロゲーマーですよね?」

と言われても

「そう言われてますね」

としか返せず。

 

しかし

 

ようやくです。ようやく。2014年5月から4年と9ヶ月。

 

この日を持って私は胸を張って

 

「プロゲーマーのaMSaです」

 

そう言えそうです。 

ただ当然ですが、ここがゴールではありません。むしろ今スタート地点に立ったといえます。ここから何を成すのか、残せるのかが重要なのです。

まだしばらく兼業での活動が続きますが、近いうちに専業プロへのシフトを考えております。

専業になれば今よりもさらにプロゲーマーとしての「実力」「収益」「価値」の3本柱を伸ばしていけるので今後の活動にもご期待ください。

話は大きく変わりましたが、これにて前編を終わります。

後編ではGenesis 6 のDay 2, Day 3 での試合内容や背景、ザクレイ選手の活躍などに触れていきたいと思います。

『Genesis 6』大会レポ 後編~世界一スマブラDXプレイヤーへの第一歩~ - aMSa's Blog

それでは!

aMSa

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